別荘の思い出

私は国内で色々な場所を旅行しましたが、宿泊先がホテルや旅館ではなく、別荘で過ごせたのは軽井沢だけです。

両親の知り合いが軽井沢に不動産を持っており、母親と2人で別荘として利用させて頂きました。

白樺の木々の中、夏にも関わらずひんやりした澄んだ空気で、時がゆっくり過ぎていく様な感覚が疲れを一気に癒してくれました。

別荘には食べる物がなかったので、昼間は街へ出てランチを取り、サイクリングをしたり、牧場へ行って馬に乗ったり、搾りたての牛乳を飲んだりと楽しく過ごした後、別荘へ戻りました。

夜になると、夏なのに冷え込んで寒くて毛布に包まっていたのですが、何か黒っぽい物が視界に入りました。

ゴキブリの様な気がして恐る恐る見てみると、ゴキブリではなかったのですが、脚が異様に長いコオロギのような形の、コオロギよりは遥かに大きい変な虫がいたんです。

とっさに枕を振りかざして追い払おうとしたのですが、予想外にもこの虫は向かってきたんです。

慌ててキッチンの方へ逃げたら、そこにはそのコオロギより大きなサイズの変な虫が、キッチンにわんさかいました。

身が凍るような思いでした。手入れが行き届いているホテルや旅館と違って、別荘ではこんなことがあるんですね。

自然の中ですし。何の虫かは今だに不明です。その日の夜は、屋根裏があったのでそこで寝たのを覚えています。今ではいい思い出です。